熊本市中央区出水7-36-25
がん・認知症は早期発見が決め手
PET検査の専門医が待つ
がんの大きさや性質まで診断
紅葉などの庭木や花々が眺められる大きな窓。個室のリラックスルームなど心安らぐ空間設計までこだわった、PET(ペット)検査専門の『魚住クリニック』。PETとは近年注目される、がんやアルツハイマー型認知症の検査方法だ。
がん細胞は、健康な細胞よりブドウ糖を取り込みやすい性質がある。糖を含んだ薬剤を注射し、がん細胞に集まっている薬剤の状態をPETカメラで撮影。すると、がんの場所や性質、細胞の活動状況などまで、詳しく調べることができる。
CTやMRIは、がんの形や大きさを映し出すのが得意だが、PETはがんの〝活動性〞を調べられるのが特長だ。「今は小さいが、今後大きくなりそうな勢いを持つがん」は、強く光る。逆に良性腫瘍である場合や、治療が奏功して、がん細胞が死滅しかかっているときは、おぼ
ろげな光だ。数値でも、活動性を明確に確認できる。
CTとPETを組み合わせると、下2枚のレントゲン画像のようになる。これを放射線専門医・核医学専門医が診断することで、検査結果の精度が上がるのだ。
リラックスして
行えるPET検査
同院はPET検査薬剤までも院内製造できる技術を持つ。医師の問診後に薬剤を注射し、浸透するまで1時間ほど個室で安静に過ごす。PETカメラで撮影して1時間ほどで結果が出ると、医師が画像を見て説明。10日後に最終報告書発送という流れだ。
日本では年間約99万人(2019年日本対癌協会)に新たながんが発見され、約38万人(2021年厚生労働省)が、がんで命を奪われた。働き盛りでの発症も多く、40〜70代では死因の40〜50%を占める。しかし、もはやがんは「不治の病」ではない。
がんになる部位は、男女ともに肺・大腸・胃・膵臓などが多く、男性では前立腺、女性では乳房などが加わる。しかし一般的な胃がんは罹患しても死亡率は低く、早期発見で根治する可能性が非常に高い。そのため、PETは有効な検査方法といえるだろう。
もし、がんと診断されたらPET検査は保険診療。腫瘍の活動性、広がりや進行度が容易に確認でき、治療方針決定に重要な情報だ。治療中の効果も一目瞭然。苦痛が少なく、一度でほぼ全身を画像にできるPETは、病気診断、転移、再発診断に有効だ。
また同院では、希望が多い脳PETも新設。2023年9月にアルツハイマー型認知症の新薬「レカネマブ」が厚生労働省に承認された。その新薬を使うべきかどうかの診断も、脳PETでできるのだ。
魚住院長は、「『要検査』と言われ、不安を抱えて来院される患者様が安心されるように、〝家族のように心温かな医療〞と〝質の高い診断〞を目指しています」と語る。