脳卒中に対する急性期拠点医療機関として、3次救急病院と同等の高度な治療を提供する『杉村病院』。患者が搬送されてきた超急性期の迅速な治療から、急性期・回復期の患者のリハビリ、社会復帰までを一貫して院内でサポートする。医師や看護師、医療技術者、そして作業療法士等のリハビリの専門職員などすべてのスタッフがワンチームとして患者に向き合う同院の取り組みに迫った。
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杉村病院
1956年に杉村医院として開業。2009年に心臓血管センターを開設後、2019年に脳卒中急性期に対応できる高度先進的脳神経内科を開設。心筋梗塞および脳卒中の急性期拠点病院として高度な救急医療を提供している。令和4年度は2,643件の救急搬送に対応。
救急からリハビリまで
脳卒中患者に尽力
脳卒中急性期拠点医療機関として『熊本大学病院』との連携のもと、365日24時間の医療体制で脳卒中患者の治療にあたる『杉村救急からリハビリまで脳卒中患者に尽力病院』。同院では、救急救命士のスタッフ(9名)と救急隊員間での密な連携のもと、救急搬送されてからの迅速な治療に注力。t ̶ PA(血栓溶解療法)やカテーテル治療など3次救急病院と同等の専門性の高い治療法を用い、医師や超急性期医療から回復期リハビリまで脳卒中患者をチーム医療で支える放射線技師、看護師等が一丸となって患者の対応にあたっている。
同院の取り組みで特筆すべきは、急性期から回復期に至った患者に対する院内での手厚いリハビリテーションだ。脳卒中が原因となる脳機能障害に対するリハビリは、麻痺や失調などの運動障害のほか、失語症や記銘力障害などの高次脳機能障害に対して行われる。退院後の「生活の質」の向上を目標に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士が多職種協働となって患者のサポートに尽力している。
リハビリ室をリフォーム
最新機器を多数導入
2023年4月に鉄筋コンクリート6階建ての新病棟が完成したことに伴い、同年9月には回復期リハビリテーション室を大幅にリニューアル。旧棟のワンフロア(28床分)をすべてリフォームし、以前のリハビリ室の4倍の広さに拡充した。ST(言語聴覚士)のリハビリ室を増設し、あわせてリハビリ機器も多数導入。有酸素運動と認知機能のトレーニングが一度に行える自転車型のエクササイズマシン「コグニバイク」や、リハビリ先進国のノルウェーで用いられている「レッドコード」など、いずれも効率的かつ効果的なリハビリを追及した最新機器が揃う。
同院でリハビリに携わるスタッフ数も約4年で2倍に増員。現在は、PT(理学療法士)36名、OT(作業療法士)22名、ST(言語聴覚士)8名を含めた合計66名の専門スタッフが在籍している。こうしたスタッフの育成にも力を入れており、貢献度の高いスタッフを応援する目的で社内表彰制度も始めたという。
「自宅に帰っていただくのは、大前提。一番の目標は患者さまを社会復帰につなげること」という意識をスタッフ全員が持ち、入院当初から患者の生活背景を踏まえたうえでPT、OT、STが連携してリハビリに臨む。そうした患者一人ひとりに対するリハビリチーム全体の手厚いサポートが、同院におけるリハビリの強みともいえる。大規模な環境整備を終えた今、脳卒中患者の「よりよい回復」を目指して『杉村病院』は邁進していく。