CASE9 脳卒中
脳の血管が詰まったり破れたりすることで障害を起こす病気で、くも膜下出血、脳出血、脳梗塞などがある。八代市の『熊本総合病院』は、県南の中核的脳卒中センターを目指して施設・スタッフの充実を図っている。その取り組みを聞いた。
県南の中核的脳卒中
センターを目指す
『熊本総合病院』脳卒中センターは脳神経外科・内科に分かれる。脳神経外科では脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍、機能的疾患などの領域を3人の専門医で診療。緊急手術が必要な場合もあり、休日夜間を問わずに対応できる体制をとっている。脳神経内科は脳、脊髄、末梢神経、筋肉などに由来する疾患を対象とする内科の分野で、専門医2人と非常勤医1人が対応に当たる。
脳卒中の具体的な治療法を紹介する。脳の血管にできた脳動脈瘤と呼ばれるこぶが破裂するくも膜下出血。治療は、開頭してチタン製のクリップで脳動脈瘤をはさむクリッピング術が第一だが、動脈瘤の部位や形状によっては血管内治療(コイル塞栓術)を選択することもある。コイル塞栓術とは脚の付け根からカテーテル(医療用の管)を挿入し、脳動脈瘤のある場所まで進めて、脳動脈瘤の中にコイルを詰めるという治療法だ。
脳の血管が破れる脳出血では、神経症状や血腫量などを症例ごとに検討。血腫除去術が必要な場合には開頭術や神経内視鏡手術、定位脳手術のいずれか適切な治療法を施す。さらに、脳血管障害を予防するための手術も行っている。
脳の血管が詰まる脳梗塞には主に脳神経内科が対応。超急性期治療として、血栓を溶かす「血栓溶解療法」を2015年から、血管にカテーテルを入れて血栓を絡め取る「血管内治療」を2020年から開始し、八代医療圏で脳梗塞の治療が完遂できるようになった。
「脳神経外科には2023年から脳血管内治療の専門医が加わり、より高度な治療が可能になりました。看護師、臨床検査技師、診療放射線技師といったコメディカル(診療を支援する部門のスタッフ)協力体制も整っています。2023年秋には手術室が現在の6室から8室に増え、通常の手術室と血管造影室という2つの異なる治療室を一つにしたハイブリッドも導入可能になります」と古賀先生。チーム医療の強化と最新設備・機器の導入によって、脳卒中センターのさらなる充実が図られている。
こうした状況を踏まえ、熊本総合病院は現在の一次脳卒中センターから、より高度な治療ができる一次脳卒中センターコアを目指している。2024年に申請予定で、実現すれば県内では4施設目、県南では初となる。
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