菊池郡菊陽町原水1156-2
保護者の不安を取り除き
薬に頼らない医療を目指す
不要な薬は処方しない
安らげるアドバイス
〝受診の対価とは、処方(薬)ではなく、診察そのもの〞との考え方に基づき、吉本院長は「薬に頼らず、不要な薬(特に抗生剤)を処方しないよう心がけています」と語る。
来院する子どもの症状で最も多いのは発熱で、ほとんどがウィルス感染症。いわゆる〝風邪症候群〞及びその周辺疾患で、温かくして静養すれば自然に治っていく場合が多い。しかし、忙しい保護者からは「熱を下げる薬をください」と要求されることも。風邪の中には重症化する例もあり、それを恐れて医者は「念のため」に抗菌剤を処方し、保護者は不要かもしれない薬を飲ませる。温かくして数日ほど安静にしていたおかげで自然治癒したのかもしれないが、保護者は「薬が効いた」と勘違いすることもある。「そこが問題なのです。本来は自然に治る風邪症候群を、いかにも薬で治ったように思い込んでしまう」と吉本院長。その結果「薬をくれる医者が良い医者」と思い込む保護者もおり、医師側も説明する時間がないので抗菌剤を処方するという悪循環が考えられる。
吉本院長は、「子どもの体内でどういったことが起きているかを説明して保護者の不安を取り除き、どうしたら楽になるかなどの対処法をアドバイスする。どうしても薬が必要であれば、最低限のものを処方するのが、これからの小児医療の目指す道ではないかと思います」と語る。
子どもの心配ごとは
まず小児科へ
「子どもたちに心配ごとがあれば、まずは小児科を受診してください。原因を診断し、必要に応じて専門医を紹介する場合もあります」と吉本院長。子どもが鼻水を垂らすと耳鼻科へ連れて行く保護者もいるが、風邪気味で鼻が詰まっているだけなら、小児科で鼻を吸引すれば良くなる場合もある。総合的に診断してもらう方がいい。
院長診察室の隣は、妻である副院長の診察室だ。働きながら1男2女を育て上げた女性医師は、母親たちだけではなく、女子中高生からも信頼が厚い。幼かった患者が母親となり、「小児科ならここ」と、我が子を連れて来るケースもあるそう。院長の郷里である菊陽町の小児科として、地域に寄り添う医療を行っている。
院内には阿蘇出身の画家・葉祥明氏の絵が飾られている。また葉氏の実弟であり『葉祥明 阿蘇高原絵本美術館』の葉山祥鼎館長からのプレゼントは、院長夫妻をブルービーに見立てた自筆の絵。待合室が童話の世界のようだ。
また地元チームのサッカーやバスケットボールのグッズも展示してある。「チームを盛り上げて熊本が元気になれば、地元の子どもたちも元気になるはず」と、スタジアムで声援を送る。その心意気に賛同してくれた選手が寄贈してくれたシューズやウェアを鑑賞できる。