阿蘇郡南阿蘇村立野185-1
地域の高齢者施設や診療所と連携。
「介護」と融合した先駆型医療
地域連携センターで
他職種と情報を共有
南阿蘇地区(南郷谷)で唯一の病床を有する救急受入病院として、地域の健康づくりと医療を支えてきた『阿蘇立野病院』。1979年の開院以来、幼稚園や小中学校の健診にも携わってきたこともあり、親・子・孫と3代にわたって同院とのご縁が続く地元住民は多い。
ちなみに南阿蘇村は高齢化率が43・1%(2020年時点)と全国平均より14%以上も高いことから、『阿蘇立野病院』では「在宅療養支援病院」として超高齢地域に密着した在宅医療にも力を入れている。「在宅療養支援病院」とは、在宅療養中の患者や家族が住み慣れた地域で安心して療養生活ができるよう、患者やその家族が24時間連絡が取れる体制を整えた病院のこと。そのサポートの一つとして、同院では「送迎サービス」を無償で提供。通院が欠かせない透析患者をはじめ、移動手段がない足が不自由などの理由で外出がままならない高齢者に喜ばれている。
また、クリニックから介護施設まで多角的に運営している同院では「医療と介護の融合」を実現すべく、地域連携センターを設置。訪問診療や訪問看護、訪問リハビリなどと連携し、また行政、医療機関、介護施設と調整を図りながら、利用者一人ひとりの状況に応じたサービスを提供している。「ほぼ在宅、ときどき入院」というスタンスのもと、高齢者に寄り添う連携システムを確立していることが大きな強みとなっている。
高齢者が生涯安心して
地元で暮らせるために
そして、「在宅療養支援病院」として独自に取り組んでいるのが「高齢者救急」だ。南阿蘇管内で精密検査や救急外来を受け入れられるのが同院だけとあって、対応地域は南阿蘇村と周辺全域に及ぶ。患者本人やその家族はもちろん、地元の診療所や介護施設などから要請があれば、病院救命士と看護師が出動。患者の状態を見計らいながら病院へと搬送している。肺炎・心不全・尿路感染症など、高齢者に見受けられる症状へ適切に処置してきた豊富な経験値もまた同院の特長といえる。「地域密着型病院として長年、地域の方々の健康を見守っていますが、やはり患者さんの高齢化が確実に進んでいます。そう考えたとき、私たちは病院の理念でもある『ぬくもりと安心の医療を提供する職場であり、病院である』ことに重きを置いています。つまりそれは、延命だけを目的にした治療で本人や家族へ精神的・肉体的な負担をかけるのではなく、『癒し』を最優先にした医療サービスを提供するということ。尊厳を持ちながら穏やかな自分らしい最期を迎えられるよう、地域の皆さんの人生に寄り添っていきたいと考えています」と上村理事長。
今後、日本が迎える超高齢社会において、都市部でも採用されていくであろう「介護と医療との融合」。その先駆けとして、いち早く他職種との連携を実践している同院は、全国の医療機関からも大く注目されている。