熊本市中央区南熊本4-3-5
乳腺と消化器疾患の専門病院
その人に合った化学療法を提供
最新の乳がん治療で
術後の負担を軽減
女性がかかるがんとして最も多い乳がん。「がんの統計2022」(公益財団法人がん研究振興財団)によると、2018年に乳がんになった人は約9万人。女性のおよそ11人に1人が罹患する計算だ。また乳がんで亡くなった人は約1万5000人だと推計されている。多くは30歳から50歳という子育てや仕事で忙しい年代で発症することから乳がん検診の受診率は低く、死亡率も増加。しかし早期発見できれば、乳房を取らずに済む乳房温存術もできるのだ。精密な検査のために最新型フルデジタルの〝マンモグラフィ(トモシンセシス)〞を導入。また乳房のしこりの硬さを画像化する〝超音波組織弾性映像装置エラストグラフィ〞、しこりの立体構築画像を撮影できる64列マルチスライスCTなど最新機械での精密検査を行う。
抗がん剤も進化し、乳がんのタイプによっては6〜8割が消えてしまうケースもある。がんが大きい場合は、手術前の抗がん剤治療で縮小させ、なるべく乳房を温存するよう手術に持っていったり、わきの下のリンパ節を全部取るかどうかを判定したりする。その判定には〝センチネルリンパ節生検〞が有効だ。検査が可能な機械も導入し、必要以上のリンパ節を切除しないようにしている。さらに令和4年には手術室に隣接して、病理室・病理診断室を新たに設置。手術中に取ったリンパ節をすぐ病理診断科の専門医に送る。その迅速な診断のおかげで、切除しない選択も出てくる。「30年ほど前は、がんの大小を問わず、わきのリンパ節を全部切除していましたが、術後にリンパ腫になり腕が使いにくくなるケースもありました。それを避けて、患者様の負担を軽くしたいです」と村本理事長。
内視鏡による
消化器手術も充実
消化器外来部門は、胃と大腸・胆嚢・ヘルニアの診断・治療(特に内視鏡手術)が中心。ほとんどの手術は腹腔鏡下(内視鏡の一種)だ。全身麻酔をして腹壁を数か所、小さく切開。大きなモニターを見ながら患部を摘出するため傷跡も小さく、患者の負担が少ないので早い回復につながる。肉体的だけでなく、精神的にも負担が大幅に少なくなる。近年増加している腹腔鏡手術が、鼠径ヘルニア修復術〝TEP法〞である。全身麻酔下で腹部に0・5㎝と2㎝の穴を空け、筋膜の開いた部分をメッシュシート(人工膜)でふさぐ方法だ。出血や術後の痛みも少なく、1〜2泊程度の入院で済む。
また同院は県内でも珍しい化学療法(ケモテラピー)の専門施設で、同院が掲げる造語「ケモトピア」とは理想郷(ユートピア)と合わせたものだ。患者のライフスタイルや腫瘍の特性に合わせたオーダーメイドの治療方針を提案してくれる。抗がん剤治療で髪が抜けたり、乳がんの手術で乳房を切除したりした患者のために、帽子やおっぱいパッドの裁縫教室を開催。リラックスして療養できる気配りが施されている。