上益城郡益城町馬水123
〝一人ひとりを大切に〞
様々なシーンで生活を支援する
自然・アート・人……。
出会いを生む場所
熊本県内で4つしかない精神科救急急性期病棟を持つ『益城病院』。昭和25年、益城町惣領に『犬飼医院』として開院し、令和元年に移転オープンした。落ち着いて療養できるよう、木立やバラ園、噴水などに囲まれる庭園も造られた。「患者や地域と共に」という視点で、病院1階にはレストランを設置。また、旧病院には美術館や喫茶店もあり、地域の人々が気軽に立ち寄りやすい温かな雰囲気に包まれている。
精神科の医師数は通常、患者約50名に対して1名だが、同院では3〜4名と手厚い。精神科の常勤医師が13名もいるのは珍しいが、救急病棟があることも理由の一つだ。阿蘇や山都町などの保健所や地域包括支援センターの紹介による来院も多い。
退院後は外来通院のほか、デイケアや就労継続支援事業所、訪問看護を利用できる。また段階的に社会復帰に向けた在宅生活をおくるための施設として、共同住居や宿泊型自立訓練施設において日常生活をサポート。患者の容体が一旦落ち着いても、家族が介護で疲弊しているようなら施設を紹介するなど、家族のケアも欠かさない。渡邊院長は「相談から受診、入院療養、退院後の生活に至るまで、一人ひとりに合ったトータルサポートケアの充実に努めています」と語る。
2018年3月に放送した益城病院の求人CMは、俳優・岸部一徳氏が独特の声で語りかける印象的なもので、「一度聞くだけで記憶に残るほどユニーク」と好評だ。そこにもまた、〝地域の医療・福祉・文化に貢献する〟という益城病院の姿勢が示されている。
在宅支援の拠点となる
『ましき童夢』が開設!
令和5年10月には、障がい者の地域生活支援の拠点となる『ましき童夢』を開設させた。同院の70周年記念マスコット「ましまる」が描かれたドーム型の建物だ。今までは、障がい者が地域で継続して暮らしていくのに欠かせない在宅部門の就労継続支援B型事業所や指定相談支援事業所などが同院の関連施設として各地に点在していた。それを『ましき童夢』に集約することで、より緊密で質の高い支援活動へとつなげていく。
同院では、退院後にレストランやパン工房などで、接客や調理の仕事もできる。「自宅にこもることなく社会と接点を持つことが病状安定に必要で、何か役割を持ち生活のリズムを作ることで、やり甲斐がうまれます。一般就労の前の準備段階になれば」と渡邊院長。週1回の短時間だけなど、自分のペースで就労できる。院内のレストランでの接客が苦手なら洗濯作業、パン作りなどもあり、特性を活かして働ける。何よりサポートしてくれるスタッフがいるから安心だ。
『益城病院』には、治療を行う場だけでなく、患者が社会に出て行くための働く場があり、同時に、地域の人々と交流し、文化やアートを楽しむための場も設けている。