がん免疫治療を熊本・東京で展開する。
がん治療・がん再発に挑むAIIMメソッド
『国立がん研究センター』によると、2023年にがんで死亡した人は約38万人にのぼる。死亡原因別で見ると、40~80歳代の第1位が「悪性新生物(がん)」。医療が日々進歩する一方で、いまだ脅威であるがん。“AIIMメソッド”と呼ぶ独自の免疫療法でがん治療に挑む『くまもと免疫統合医療クリニック』の今を取材した。
がん治療の主役は免疫
免疫統合医療に注目
私たちの体には37兆億個もの細胞があり、健康でも毎日3千〜5千個ものがん細胞が発生しているといわれている。この数字だけ聞くと、「みんながんになるの?」と怖くなってしまう。しかし、答えはNO!日本人が何らかのがんにかかる確率は2人に1人。約半数は、体内の免疫細胞によってがん細胞は排除されていくらしい。「体に発生したがん細胞は、免疫力の低下で生き残ってがんになってしまいます。つまり、免疫こそ、がん治療の主役であると考えていいでしょう」と話す赤木純児理事長。長年免疫医療の研究を続けて、多くの学術論文を発表する国内有数の免疫医療の第一人者である。そこでクリニックが行っている〝AIIMメソッド〞と呼ぶ免疫統合医療に注目。「がん治療に大きく関わってくる免疫の主役は、CD8キラーT細胞です。これはがん細胞だけを認識し、がん細胞だけを攻撃します。この細胞を誘導するために重要なのが、〝がん免疫サイクル〞となります」。
キラーT細胞の誘導には
がん免疫サイクルを正しく
機能させる
複合免疫療法による治療のスタートは、①がん免疫サイクルを作動させるためには、がん細胞を破壊するところから始まる。少量の抗がん剤(標準治療の約4〜5分の1)を投与してがん細胞を破壊する。②破壊されたがん細胞からがん抗原が放出されて、免疫細胞の一種である樹状細胞がそれを取り込んでT細胞に抗原提示する。ここで、樹状細胞を活性化させるのが温熱療法(ハイパーサーミア)である。③樹状細胞からがん抗原の情報をもらったT細胞は、がん細胞を倒すキラーT細胞に生まれ変わる。この段階で働くのが第一のブレーキである。今年ノーベル賞を受賞した坂口志文氏が発見した制御性T細胞(Treg)が、CTLA4/B7を介して樹状細胞を抑制してキラーT細胞が生まれないようにしてしまう。この第一のブレーキを外すのが免疫チェックポイント阻害薬の一つ、〝ヤーボイ〞である。④活性化されたキラーT細胞が血流に乗って移動し、⑤がん組織に侵入する。この④と⑤の過程を血流を高めて促進するのが、ハイパーサーミアによる温熱療法である。⑥活性化したキラーT細胞ががん細胞を認識して、⑦がん細胞を殺傷する。この⑦の段階で働く第二のブレーキがPD-1/PD-L1のブレーキである(2018年にノーベル賞を受賞した本庶佑氏が発見)。
このブレーキを外すのがオプジーボである。しかし、オプジーボの奏功率は20〜30%と低く、このオプジーボの低い奏功率の原因とその解消法が長年世界中で研究されてきている。同クリニックはこのオプジーボの低い奏功率の原因が、がんの進行とともに増えてくる疲弊キラーT細胞であることを見出し、2020年にOncology Letterに発表し、これを第3のブレーキとした。さらに、この第3のブレーキの本態がキラーT細胞のミトコンドリア機能不全であり、水素ガスやタヒボというミトコンドリアを活性化するサプリメントが第3のブレーキを解除することも報告している。がん免疫療法サイクルは、この7つのステップからなっていて、このがん免疫サイクルに存在する3つのブレーキを全て外すことができれば、免疫の主役であるキラーT細胞を有効に活性化できる。
〝がんの守護神〞 免疫が
逆にがんを守ってしまう
私たちの体にある免疫は、時に健康な細胞も攻撃する自己免疫疾患という状態になってしまう。リウマチや膠原病などが自己免疫疾患によって起こる病気とされるが、自己免疫疾患にストップをかける「免疫チェックポイント」という仕組みも同時に備わっている。しかし、あろうことかがん細胞がこの仕組みを利用し、T細胞ががん細胞を攻撃しないようにブレーキをかけてしまうらしい。(標準治療の約4〜5分の1)を投与してがん細胞を破壊する。②破壊されたがん細胞からがん抗原が放出されて、免疫細胞の一種である樹状細胞がそれを取り込んでT細胞に抗原提示する。ここで、樹状細胞を活性化させるのが温熱療法(ハイパーサーミア)である。③樹状細胞からがん抗原の情報をもらったT細胞は、がん細胞を倒すキラーT細胞に生まれ変わる。この段階で働くのが第一のブレーキである。今年ノーベル賞を受賞した坂口志文氏が発見した制御性T細胞(Treg)が、CTLA4/B7を介して樹状細胞を抑制してキラーT細胞が生まれないようにしてしまう。この第一のブレーキを外すのが免疫チェックポイント阻害薬の一つ、〝ヤーボイ〞である。④活性化こうしたがん細胞の暴走を止める制御性T細胞の仕組みを発見したのが、2025年ノーベル医学生理学賞を受賞した大阪大学特任教授の坂口志文氏である。「制御性T細胞の発見は、がん免疫治療の分野において非常に大きな影響があると考えています」と理事長は言う。
〝がんの守護神〞の一つでもある制御性T細胞には、キラーT細胞の活性を抑え、樹状細胞のがん抗原の提示能力を低下させる働きがある。その結果、がんは免疫の攻撃を受けにくくなり、体内で生き残りやすくなる。制御性T細胞が多いほどがんは進行しやすいというデータも見られる。がんの守護神としてのブレーキ2はPD-1陽性のキラーT細胞であり、2018年ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏の研究によって発見され、抗PD-1抗体である、オプジーボにより※ブレーキ2が解除される。先にも述べたように、このオプジーボ(最終的にはがん免疫サイクル)の奏功率は20〜30%と低く、その原因が※ブレーキ3によるものであり、これを解除するのが水素ガスであることを報告した。
個々の免疫状態に対応
オーダー医療の提供
同クリニックは、患者の免疫の状態を採血によって測定するシステムを有し、そのデータから患者一人ひとりの状態を判定、最適な治療法へとつなげている。そして治療効果を高めるために理事長が着目し、導入したのが水素ガスである。水素ガスは※ブレーキ3を解除するもので、これによりオプジーボの奏功率が改善し、ひいてはがん免疫サイクルの奏功率が20〜30%から70%に改善する。これまでの進行がんの難治性原因はこの※ブレーキ3を解除できなかったことにあったため、これを改善する水素ガスを併用することでステージ4の癌患者の5年生存率が70%台と著明に改善したという。「オプジーボと水素ガスを併用して治療をすすめている医療機関は全国でも稀だと思います」と理事長は自信をのぞかせる。
さらに、ハイパーサーミア(温熱療法)にも注目したい。これは免疫療法の一つで、8MHzの高周波を身体に当てることにより、患部の中心部の温度は42度以上になる。これにより、特異的にがん細胞だけが死滅するのだ。この他、光がん免疫療法や自家がんワクチン療法など、個々の患者に応じたオーダー医療を提供している。これらはいずれもがん免疫サイクルのステップ1から3までのがん抗原提示の増強することでがん免疫サイクルの奏功率を向上させている。さらに今、同クリニックが力を入れているのが、がん再発の早期発見である。「我々が開発した新しい免疫指標を使用すれば再発を超早期の段階で発見することができます。再発を恐れる患者さんの不安感を検査で少しでも解消したいです」と患者ファーストの思いを語る。
独自の免疫指標で
再発・転移を超早期に発見
がんは取り除くことが重要で、その後、がんが転移・再発しないようリスク管理とフォローを続けることも求められる。同時に「がん治療で最も大切なことは早期発見といえるでしょう」。ただ、CT、MRIで早期に発見されるがんのサイズは1㎝以上、PET、CTでは0.5㎝以上であり、それより小さいがんの発見には同クリニックのがん検査「マイシグナル」が行われる。尿中のマイクロRNAの発現パターンの情報を収集し、AI解析。その人の〝パーソナルがんリスク〞を判定するというもの。パーソナルがんリスクとは、将来的にがんが発症するリスクを示すスコア。同検査で調べられるがん種は、大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、すい臓がん、食道がん、卵巣がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんの10種(2025年4月現在)となっている。「マイシグナルは、身体的苦痛を伴う検査が苦手な方、がんの家族歴があったり喫煙や飲酒の習慣が気になる方に推奨されます。われわれが開発した新しい免疫指標を使用すれば再発を超早期の段階で発見することができます」。
先にものべた、※ブレーキ2細胞はがんの超早期発見、再発の超早期発見に非常に重要であることを見出した。※ブレーキ2細胞を血液検査で測定することで、がんのリスクや再発のリスクを予測することができるようになった。他にも、人間ドック・健康診断の体制が整っている。基本コース(1万2千円)から、胃がん(胃バリウム/3万9千円)、胃がん(胃カメラ/4万2千円)、胃カメラ+全大腸胸部CT(6万5千円)、フルコース(7万5千円)、乳がん健診(3万2千円)。もちろん、一人ひとりの免疫状態を測定し、それに応じたアドバイスをもらえる。がんはもとより、脳卒中、心臓病など生活習慣病に配慮した健康生活のバロメーターとして取り入れたいものだ。
医療から美容まで。
幅広いニーズの水素サロン
同クリニックは、未病治療や健康維持をサポートする「水素サロンShizuku」(合志店・かごまち店)を持つ。水素には、さまざまな病気や老化を引き起こす悪玉活性酵素を抑制し排除する働きがあることが知られている。その効果は未知数ながら、病気の予防や治療に役立つ可能性を秘めていると注目を集めているのだ。サロンでの水素吸引は1回1時間程度。お茶を飲んだり雑誌を見たり、リラックスして水素ガスを吸い込むだけ。マシンから、1分間に濃度約4.9%の水素ガスが1,200㎖発生し、体内のすみずみに行き渡る。リラクゼーション効果も高く気分がリフレッシュするとリピート率は高い。糖尿病、高血圧症、パーキンソン病、不眠症、不登校の若年層、アトピー性皮膚炎といったさまざまな症状で訪れる人がいる中、日頃から免疫を高めることでがんや糖尿病、高血圧症にかからないよう〝予防〞の観点から通う利用者もあるそう。また、美容やダイエット効果を期待する若い女性の関心も高いという。
クリニック隣接の宿泊施設
滞在して治療に専念
県外からの患者が後を絶たないため、クリニックに隣接した1LDKマンションタイプの専用宿泊施設を完備している。1泊4千円とリーズナブルで、家族の宿泊にも対応。中には県外から来院し、通年にわたって滞在。がん治療に専念し寛解した患者もみられる。希望によっては水素ガス吸引マシンのレンタル(1日2千円)も受け付けられ、滞在中の部屋で自由に利用することが可能。健康維持を目指し、定期的に宿泊し水素吸入をするなど、幅広い世代の身近なライフプランとして浸透しているそうだ。
医療法人 全健会 くまもと免疫統合医療クリニック
<インフォメーション>
東京都中央区築地に「TOKYO免疫統合医療クリニック(理事長:赤木純児先生)」を開業。
