熊本県で死亡原因第4位の“脳卒中”や死亡原因の第2位の“心疾患”は、いずれも突然症状が現れ死に至ることもある重篤な病。その予兆や異常が起きた時の対処法を知り、迅速に対応ができるようにしておこう。■取材協力/熊本県健康福祉部健康局医療政策課
脳卒中
熊本大学病院 脳神経外科
教授 武笠 晃丈 監修
Q.脳卒中とはどんな病気ですか?
A.大きく分けて脳の血管が詰まるタイプと、高血圧などでもろくなった血管が破れるタイプの2種類があります。脳卒中は発見の遅れで脳に大きなダメージを与え、障がいを残す恐れがあります。
Q.発症したらどうしたらいいですか?
A.処置までの時間が鍵となる、まさに時間との戦いです。脳卒中の患者さんを速やかに専門的な病院に運び、治療が受けられるような体制を整えることが重要です。
Q.脳卒中の前兆はありますか?
A.次のような特徴的な症状が現れますので、サインを見逃さないことが大切です。
これは、脳卒中で起こる典型的な3つの症状の頭文字と注意点を組み合わせた言葉です。
キーワードはFAST
● Face(顔) 顔の片方が下がる、ゆがむ。
● Arm(腕) 片腕に力が入らない。
● Speech(言葉) ことばが急に出てこない。
● Time(発症時刻) 発見した時間時刻の確認。脳卒中の専門的な治療には、発症から4時間30分以内に始めなければいけないものもあります。
FASTの症状が現れたら、救急車は大げさだとか、とりあえず様子を見ようというのは絶対にダメです。すぐに119番に通報し、病院に搬送することで、大事に至らなかった事例は多くあります。
急性心筋梗塞
熊本大学病院 循環器内科
教授 辻田 賢一 監修
急性心筋梗塞とは、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まり、筋肉への血液が止まって心筋細胞が壊死する病気のこと。放置すれば40%で死に至る怖い病気だが、早く受診できれば90%は救命できるといわれている。しかし、心筋梗塞を起こした人は将来的に再発を繰り返すことが多く、心不全に至る危険性が高くなる。そのため、まずは発症を予防し、発症後は心臓リハビリテーションを行い再発を予防することが大切だ。
Q.急性心筋梗塞にはどのような症状がありますか?
A.急性心筋梗塞の症状は、通常、胸が締め付けられるような激しい痛みが起こります。
痛いというより、胸が苦しい、胸が圧迫されると感じる場合や息苦しいと感じる場合もあります。
Q.突然、胸が痛みだした時には、どうすればよいですか?
A.なるべく早く医療機関を受診することが必要です。
119番に電話し、救急車を呼んでください。
Q.急性心筋梗塞を予防する方法はありますか?
A.急性心筋梗塞を引き起こしやすいのは、血圧が高い人や、たばこを吸っている人、糖尿病や脂質異常症の方々です。
急性心筋梗塞を予防するためには、
①たばこを吸わない。
②脂質や塩分、糖分を控える。
③定期的に運動をする、など、日々の生活習慣に注意することが重要です。
また、ストレスや過労などをきっかけに起こることもあるので、気分転換を図り、ストレスを避け、規則正しい生活を送ることが大切です。
Q.心臓リハビリテーション(心リハ)とはなんですか?
A.運動療法を心臓病の治療と並行して行うだけでなく、食事や禁煙の指導などの患者教育、カウンセリングなど長期に管理していくことを含めて心リハといいます。