玉名市唯一の脳神経外科専門クリニックとして、多くの患者さんの治療に当たってきた『玉名脳神経外科医院』。山口俊朗院長は専門の脳神経外科のほかに一般内科まで幅広く診療し、“まちのかかりつけ医”として長く親しまれてきた。2023年8月には、玉名市の『医療法人 悠紀会病院』が同医院の事業を継承し、新たな一歩を歩み始めた。そこで、山口院長と『医療法人 悠紀会病院』の反後敏夫理事長に話を聞いた。
〝まちのかかりつけ医〞
として訪問診療に尽力
山口俊朗先生は『済生会熊本病院』、『水俣市立病院』(現・国保水俣市立総合医療センター)、『健康保険八代総合病院』(現・独立行政法人地域医療機能推進機構熊本総合病院)に勤務した後、2004年に『玉名脳神経外科医院』を開院。当初は19床を備えて入院患者を受け入れていたが、3年ほど前から外来と訪問診療に専念している。訪問診療は週3回ほど。生活習慣病や腰痛・肩・頸椎の痛みなどを抱える高齢者を中心に自宅や施設を回る。「訪問診療の対象は高齢で通院できなくなった方々です。私が顔を見せると喜んでいただけます。医師・患者としてだけでなく、人として長くお付き合いしているので、最後まで寄り添いたい」と山口院長。〝まちのかかりつけ医〞として親しまれる所以だ。
さらに山口院長は「増え続ける高齢者医療と向き合うとき、これから訪問診療がますます重要になります。看取りを含めて、本格的に力を入れなければなりません」と話す。玉名地域の在宅医療を支える「たまな在宅ネットワーク」の定例会議にも出席するなど、地域の在宅医療の向上に意欲を示す。
互いの不足を補い
長所を生かす
一方、『悠紀会病院』は1991年、玉名市上小田に開業。1996年には介護老人保健施設『ゆうきの里』を併設し、介護分野の充実を図った。その後も回復期リハビリ病棟や介護医療院を開設するなど、地域医療、介護、福祉の機能を併せ持つ複合施設として発展してきた。
事業継承の話が持ち上がったのは2023年春。短期間で決断した背景を、反後理事長は次のように語る。「玉名地域には玉名脳神経外科医院以外に脳神経外科がありません。山口院長は病床を持たず、訪問診療に力を注いでいらっしゃいます。逆に悠紀会病院は入院患者さんを受け入れることはできますが、在宅医療には課題を抱えています。よって、お互いに不足している部分を補うことができるわけです」。
医院の立地も決断を後押しした。「『悠紀会病院』は玉名市の中心部からやや離れた場所にありますが、『玉名脳神経外科医院』は中心部に近いため、身近で患者さんたちが立ち寄りやすい。近い将来、『玉名脳神経外科医院』内に居宅介護支援事業所を移すことで、玉名郡市にお住まいの皆様がより利用しやすい環境を整えたいと考えています。山口院長と連携を密にして、2024年4月から事業を本格化させたい」と、反後理事長は将来を見据える。
『悠紀会病院』が事業を継承することで、新たな一歩を踏み出そうとしている『玉名脳神経外科医院』。不足を補い、長所を生かして、地域医療に貢献する日々は続く。
0968-75-1511