CASE14 眼瞼下垂
まぶたが重い、目が開きにくいなどの症状が現れる眼瞼下垂。主に加齢が原因となり誰でもかかる可能性がある。眼科と形成外科を併設し、まぶたの治療を専門とする『まわたり眼科形成外科クリニック』で行われている治療法をレポート。
視界が悪くなるだけでなく、
体の異変にも24時間迅速な対応可能
まぶたがたるんで視界が悪くなる。目を開こうとすると、額にしわが寄る…。これらは眼瞼下垂(がんけんかすい)の症状。多くは加齢によりまぶたを挙げる筋肉(眼瞼挙筋)が落ちたり、まぶたの皮膚が緩むことで生じる。
「上まぶたが黒目にかかることで視界が悪くなるだけでなく、眼瞼下垂を放置すると、眼精疲労や自律神経の障害により頭痛や肩こりなど体の異変を引き起こすことがあるため、注意が必要です」と馬渡院長。さらに体の不調だけでなく、見た目も疲れて見える、老けて見えるなどの問題も。
眼瞼下垂は自分では気づきにくい場合があり、特に女性で上まぶたのくぼみが深くなったり、年齢よりも老けて見えるなどがあれば、眼瞼下垂に合併したものである可能性も。その場合、眼瞼下垂手術を行えば上まぶたのくぼみが改善することも報告されている。
「年齢とともにまぶたが下がることは自然なことで、個人差がありますが加齢により誰でも生じます。ほかにも外傷、神経麻痺、目をこするといった機械的刺激が原因になることもあります。また最近では、お若い方でもハードコンタクトを長時間使用することで、眼瞼下垂を引き起こすことがあります」。さらに、若い世代にも増えている要因のひとつがアイメイク。目をゴシゴシとこすって落とす習慣がある人やエクステ・つけまつ毛をしている人はまぶたを強く触ることが多く、まぶたを挙げる筋肉の異常を招きやすいため、やさしくまぶたに触れることも重要だと院長は語る。
保険適用の手術で
健康でキレイな目に
まぶたを挙げる筋肉は自分で鍛えて強くすることができないため、眼瞼下垂を改善するには手術が基本となる。手術は局所麻酔(まぶたへの注射)を行い、上まぶたのたるみのみが原因であれば「上眼瞼皮膚切除術」を実施。まぶたの厚い症例では、脂肪切除の併用か眉毛下皮膚切除を行う(手術時間は片眼15〜20分程度)。まぶたを挙げる筋力が低下している場合は、上まぶたを切開し、その筋肉を元の位置に縫い合わせる手術を行う(手術時間は片眼20〜30分程度)。上まぶたの切開した部分は糸で縫合し、術後1週間前後で抜糸を行う。
個人差はあるが、1〜2週間はまぶたが腫れ、術後早期は目が乾燥しドライアイになりやすくなるため視力が落ちる場合もある。しかし、点眼を行うことで、ほとんどの場合、経過とともに改善される。眼瞼下垂の手術は保険適用となるため、日常生活に支障が出てきた、外見が気になるという場合は、手術を検討することが得策である。
術後の見た目を予測し
画像で確認することも
「開院以来、眼瞼下垂だけでも月間100以上の手術を行っている経験から、左右のバランスを調整したり、見た目にも自然な仕上がりを目指しています。また、術後は見た目が大きく変わるため、その不安を軽減すべく術式にもよりますが、治療後の見た目を予測したシミュレーション画像を作成し、お見せすることも可能です」と院長。
まぶたのできものは
放置せず早めに治療を
まぶたの疾患に特化した治療を行う同院では、眼瞼下垂のほか「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」やいぼ・腫瘍などにも対応。霰粒腫は、まぶたに硬いしこり(化膿性肉芽腫)ができる状態で、涙の表面を覆う油分をつくるマイボーム腺の入口が何らかの原因でつまり、化膿して腫れ上がるものである。小さいものであれば点眼でよくなるのを待つが、時間がかかるケースも。大きいものは局所麻酔の後にまぶたを切開し、中の膿や肉芽を取り除く。皮膚を切った場合には縫合を行う場合もあるが、傷口は自然と目立たなくなる。
「まぶた周辺にいぼができて、どこの科を受診したらいいかわからないというお声も聞きます。当院では、そのような方々に対応しており、治療が可能です。いぼや腫瘍は局所麻酔を行い、切除して病理検査を行います。病理検査で悪性と判断された際は、専門の皮膚腫瘍科のある病院へ紹介しています」。
日常生活の中でまぶたに違和感を感じても少しくらいはと放置することも多い。しかし、稀ではあるが悪性腫瘍など大きな問題に繋がることもあるため、気になった時には早めに専門医の診察を受けることが重要である。
096-273-7571