専門性を活かし、障がい者リハ・小児リハに注力
あらゆる世代に対する幅広いリハビリテーションを展開している『せんだメディカルクリニック』。
これまであまり受け皿のなかった、パラスポーツや発達障がいの子どもを対象とした小児リハビリ
テーションにも力を入れているという。取り組みへの想いを千田治道理事長に聞いた。

高齢者も続けやすい
パラスポーツでの運動
12人の理学療法士が在籍し、子どもから高齢者まで、様々なライフステージに応じたリハビリテーションを提供する同クリニック。特に近年、障がい者スポーツに対する支援に注力している。同クリニックの理学療法士が近隣の県立熊本かがやきの森支援学校へおもむき、障がい者スポーツの指導を行っている。さらにパラスポーツ指導者協議会員として2024年の国体にも帯同した。また千田理事長は、一般高齢者に向けたパラスポーツの指導も今後の構想として掲げているという。
もともと〝みなし指定のデイケア〞に取り組んできた同クリニック。これは、高校生など一般患者のリハビリーテーションに混じって、介護保険による高齢者の通所デイケアを行うもので、完全な「リハビ
リ特化型のデイケア」といえる。理事長は、このデイケアの様子から高齢者に向けたパラスポーツ教室の必要性を感じたという。「高齢者の中には、いわゆる〝お遊戯的〞な運動を嫌がる人も少なくありません。みなしのリハビリだと、それがほとんどないため、精神的な負担が少なく続けてもらいやすいんです。同様に障がい者スポーツであれば、楽しみながら体を動かすことができると考えました」今年の夏ごろから、理学療法士の指導による、地域の人に向けた障がい者スポーツ教室を土日に無料で開催する予定。障がい者スポーツの普及啓発に加え、参加者の健康向上、地域貢献が大きな目的だ。
子どもの発達障がい
支援の受け皿の一つに
力を注ぐもう一つの取り組みが小児運動発達支援だ。運動を通して、子どもの発達を促す療法のこと。発達障がいや学習障がいを持つ子どもたちの中には、「うまく歩けない」「転びやすい」など、運動面でうまく体をコントロールできないケースが見られる。そうした子どもたちに、ボール運動などの遊びを通して、楽しみながら日常生活に必要な動作を身に付けるリハビリテーションを行っている。「発達障がいのある子どもたちへの支援の受け皿は非常に少ない。中学生以降は療育の機会もほとんどなくなります。その受け皿の一つになれたら」。理事長は、小児運動発達支援に込めた想いを語る。
もともと、この取り組みを始めたのは2021年。小児発達障がいのリハビリテーションに関する研修を行い、支援の場が少ないことを知ったのがきっかけだという。今後は、在籍する理学療法士によ
る「小児分野認定理学療法士」の資格取得を目指している。「療育センターや病院に通うことが難しい」「医療面からのサポートも受けたい」「運動や集団行動が苦手」「日常生活に必要な動きを練習したい」といった保護者の要望に応え続ける同クリニック。今後の取り組みに注目したい。

