CASE07 白内障
白内障は加齢により水晶体が濁り、視界がかすむ病気である。症状が進行すると手術が行われるが、『佐藤眼科 熊本』では
患者の生活スタイルに応じた治療法を提案している。院長の佐藤智樹先生に話を聞いた。
QOLを重視した
レンズ選び
白内障は、目の中にある水晶体が濁ることで、視界がかすんだり、色が薄く見えたりする病気。水晶体は本来透明で、光を目の奥に届ける役割を担っているが、加齢や外傷、病気などが原因で濁ることがある。「白内障は特に高齢者に多いですが、早い方では40代で発症するケースもあります」と佐藤院長は指摘する。日常生活において、視力低下や光のまぶしさを感じることが多く、放置すると症状が進行していく。「視界に違和感を覚えたら眼科を受診されると良いでしょう」。
進行した白内障の治療法は、手術が基本となる。濁った水晶体を取り除き、人工のレンズを挿入する手術だ。短時間で済む手術が一般的で、目薬による麻酔を使うため、ほとんど痛みを感じないという。ただし「怖い」と感じる場合は、希望すれば、笑気ガスを吸いながら手術を受けることも可能。不安や恐怖心が和らぐ効果が期待でき、リラックスできるという。手術では黒目と白目の間を約2㎜ほど切開し、濁った水晶体を吸引した後に人工レンズを挿入する。手術時間は片目で10分程度。両目を同時に行うことも可能だが、基本的には片目ずつ行い、術後の経過を見てからもう片方の手術を行う場合が多い。
挿入する人工レンズには種類があり、大きく分けて単焦点レンズと多焦点レンズがある。単焦点レンズはピントが1カ所に合うもので、保険診療で利用できる。ピントを遠くに合わせた場合、近くを見るときには老眼鏡が必要になる。一方、多焦点レンズは、遠くから近くまで幅広く対応できるが、光がにじむ「ハロー」や「グレア」と呼ばれる現象が起きることがある。「どのレンズを選ぶかは、生活スタイルや患者さんの希望に応じて医師と相談して決めることが大切です」と院長。多焦点レンズにもいくつか種類があり、遠く、中間、近くまで対応するタイプもあれば、中間距離を優先したタイプもある。よりレンズほど近くが見えるほど、画像の鮮明度が落ちる傾向にある。「夜間運転が多い方や、細かい作業を頻繁に行う方には、単焦点レンズを薦める場合もあります」と院長はいう。また、乱視がある場合には、乱視用眼内レンズおよびベリオンという機械を使用し、乱視を矯正することも可能だ。
手術後に一時的に目が赤くなったり、ゴロゴロした違和感を覚えることもあるが、これらは数日で改善することがほとんど。「白内障手術は、完成度が高く、安全性が高いといわれる手術です」と院長は呼びかける。検診を受けるタイミングについては、年に1回の定期検診が推奨されている。白内障の症状が進行してしまう前に発見することが、生活の質を保つ上で重要である。 「患者さんの目の状態や生活スタイルに合わせた最適な治療法を提案しています。視界に違和感を覚えたら、まずは早めに相談してほしいですね」


樹尚会 佐藤眼科 熊本

