CASE03 すい臓がん(集学的がん治療)
毎年約3万人が亡くなっていると言われるすい臓がん。初期症状はほとんどなく、
腹部の違和感を覚える頃には既に進行しており、「サイレントキラー」とも呼ばれる。
そんなすい臓がんの実態とは?
症状があるころは
既に進行している
すい臓は胃の後ろにある長さ20㎝ほどの細長い臓器で、血糖を下げる働きをするインスリンを分泌するなど、様々なホルモンを作る。その働きに関連した疾患、例えば慢性すい炎や糖尿病などの持病がある人は、すい臓がんのリスクは高い。また多量の飲酒・喫煙をする人、他のがんにかかった人、すい臓がんにかかった家族がいる人は、要注意だ。
すい臓がんの初期は症状がほとんどない。腹部の違和感や黄疸などの症状がでたころは進行していることが多く、摘出手術ができないケースもある。また腫瘍の悪性度も強く、手術で切除できても再発が多いのが特徴である。2009年〜2011年の5年生存率は、男女ともに8%台。他のがんと比べても特に低い。早期に発見しても〝確実に治る〞というものではないのがすい臓がんの怖いところだ。それでも早期発見からの手術で完治をする人は一定数いる。
少しでも早く発見するには、「腹部超音波検査」を受けること。異常があればCTやMRI、さらに超音波内視鏡検査で腸の内側からすい臓を映し、必要ならば外科手術を含めた治療計画を立てる。木原先生は「大きなリスクがない方は年に1回、リスクがある方は半年に1回ほど超音波検査をお勧めします。どの病気も同じですが、禁煙する・深酒をやめる・肥満を防ぐ・生活習慣病をコントロールすることが重要です」と語る。
手術可能なすい臓がんの患者には手術前後の抗がん剤治療(補助化学療法)を行うのが、標準治療だ。手術は複雑で手術後の合併症も多く、患者にとっては負担が大きい。手術は主に3つあり、①すい頭十二指腸切除②すい体尾部切除手術③すい全摘術だ。全摘の場合は消化・代謝に大きな影響があり、術後はインスリンの自己注射を行っていく必要がある。2019年から条件付で、治療に結び付く遺伝子異常を網羅的に調べる「がん遺伝子パネル検査」がすい臓がんを含め保険適用となったのは朗報だ。


日本赤十字社 熊本赤十字病院

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