熊本市中央区新町2-2-6
妊娠・出産、更年期まで。
産婦人科医療を通して女性の幸福に貢献
地域周産期母子医療
センターとしての役割
1907年に設立、医療を通じて女性の幸福に貢献することを目的とし、その時代に応じて地域医療の一翼を担ってきた同院。少子化が加速する中でも、年間の総出産数は約3500人にのぼり、全国でもっとも多くの出産を手掛けている(2022年の統計)。
同院は、合併症妊娠など母体や胎児、新生児の生命にかかわる事態が発生した際に、高度で専門的な医療提供する施設として「地域周産期母子医療センター」の認定を受け、県内外からハイリスクな妊婦や赤ちゃんを受け入れている。
「少子化・晩婚化に伴い、妊娠総数は減少する一方で、ハイリスクな妊娠は増加傾向にあります。それを受け、妊娠中から産後にかけてハイリスクの患者さんを対象に、集中的な治療・看護を行う場として『MFICU(母体胎児集中治療室)』を設置しています。すべてが個室で、患者さん3人に対し看護師1人の配置で、よりきめ細やかなケアに当たっています」と河上病院長。
これに加えて同院の新生児センターには、「NICU(新生児集中治療室)」と「GCU(発育発達支援室)」があり、小さく生まれた・早く生まれたなど、生後すぐから治療を要する新生児のために、専門的な医療と看護を提供。大学病院並みの医療水準と助産院のあたたかさの両立をモットーに、専門的な知識と経験を持つ職員がチームでサポートを行う。
24時間365日無痛分娩
ができる体制づくり
女性の社会進出に伴い、妊娠・出産・育児への考え方も多様化し、自然分娩にこだわらない妊産婦も増加傾向にあるよう。そこで同院では近年、麻酔を使って陣痛の痛みを和らげながら出産する「無痛分娩」に積極的に取り組んでいる。
「無痛とは言っても、完全に痛みがなくなるわけでなく、陣痛がわかる程度の2〜3割の痛みに抑えることが理想とされています。痛みが緩和されることで、リラックスしてお産に臨めること。体力の消耗が少ない分、産後の体力回復が早いことや、産後うつの発生が少ないなどのメリットがあります」と、福田曜子医師は語る。
無痛分娩の鎮静法は、脊髄を覆っている硬膜という膜の外側に麻酔薬を少しずつ注入する「硬膜外麻酔」が主流となる。お産の進み方・痛みの感じ方は個人差があるため、麻酔科医が状況を見ながら麻酔を開始し、分娩時まで母子の様子をモニターで注意深くチェックしながら麻酔薬を投与していく。福田病院では、麻酔経験豊富な産科医と産科麻酔に精通した麻酔科医、そして助産師が連携しながら、24時間365日、無痛分娩に対応している。
2021年2月以降は、熊本大学病院の麻酔科の医師の協力を得て、24時間体制で麻酔管理が行える体制づくりも整った。時代のニーズに対応すべく、より安全かつ穏やかで主体性のあるお産を目指す同院の今後にも注目を。